痛風の予防にはお酒を控えよう

痛風の予防にはお酒を控えよう

渡邉 詩織

管理栄養士

執筆者:渡邉 詩織

大学卒業後、管理栄養士として社員食堂、総合病院、特別養護老人ホームに勤務。主に糖尿病、高血圧の患者さんへの栄養指導、献立作成、調理など幅広く経験。現在は料理・お菓子教室、食育活動、健康関連の執筆など幅広く活動している。

ある日突然、足の親指の付け根が腫れて激痛が走る。こんな経験をされた方もいるかもしれません。現在日本には約60万人の痛風患者がいると推計されています。1950年代までの日本にはほとんど痛風患者がいませんでしたが、食生活が豊かになり、飲酒量が増えてきたこともあり、現在では患者数が急増しています。今回はメタボとも関係の深い痛風について、お酒との悪影響を中心に解説します。

痛風とは

痛風とは血中の「尿酸」という物質が多くなった状態が続くことで、血中濃度7.0mg/dlを超えると高尿酸血症という状態になります。
高尿酸血症が長く続くと関節の中で尿酸が結晶化して固まり、関節の骨と骨の間に落下すると白血球が攻撃します。これが「痛風発作」です。
足の指の関節などが赤く腫れ、激痛を伴う病気であり、主に男性が患いやすいと傾向がありますが最近では女性の患者数も増えている病気です。
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なんで痛風は発症するのか?

痛風の原因物質である「尿酸」の材料となるのが、「プリン体」という物質です。プリン体はお酒の中でもビールに多く含まれています。蒸留酒はプリン体含有量が比較的少ないのですが、ビール以外のお酒も、痛風がある方は注意が必要です。
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痛風の人はお酒に注意が必要です

痛風の方がお酒に注意が必要な理由は4点あります。
・尿酸の産生を促進してしまう
アルコールは尿酸の素になるATPという物質の分解を促進してしまうので、体内の尿酸の量を増やしてしまいます。
・尿酸の排泄を妨げてしまう。
たくさんお酒を飲むことで、体内に尿酸の排泄を妨げる乳酸がたくさん作られてしまいます。このことから、体内の尿酸の濃度が濃くなってしまいます。
・お酒の利尿作用によって体内の水分が少なくなり、尿酸が濃縮されてしまう。
尿酸は排泄されにくくなるのに、水分だけが体内から排泄されやすくなってしまうため、尿酸が体内に溜まってしまいます。
お酒にプリン体が多く含まれているだけでなく、お酒のつまみになる食べ物にもプリン体が多く含まれています。
レバー、白子、干物などには特に多くプリン体が多く含まれています。白子やレバーには100g当り300mgものプリン体が含まれます。日本人の1日の平均体摂取量は150mg程度といわれているため、これらのおつまみを食べるだけで平均以上のプリン体を摂取することになってしまいます。     
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アルコールは食欲を増やす?

このようにアルコール摂取は、痛風の方にとって良くない作用が多くあるのです。
また上記のような作用のほかに注意が必要なのが「アルコール摂取による食欲増進」です。
アルコールを摂取することで胃酸を分泌を促進するホルモンが多く分泌されてしまうため、胃壁への負担を軽減しようと食べ物を胃に入れようとします。また、アルコールの利尿作用により、体内の塩分も排出されてしまい、塩分(を多く含む食べ物)を欲するようになります。
これによりアルコール自体にもカロリーがあるのに、食べる量も増えてしまい、カロリー過多に陥ってしまうのです。カロリー摂取過多が続くと、痛風だけでなく生活習慣病の悪化のリスクもあるのです。
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まとめ

痛風がある方に限らず、上手にお酒とお付き合いすることが大事です。
これから年末年始にかけて、お酒の席が増える方も多いと思います。
くれぐれも、程々にお付き合いしましょう。
矢野 宏行

医師 医学博士

監修者:矢野 宏行

糖尿病専門医、老年病専門医。
2006年 日本医科大学を卒業後、日本医科大学付属病院、国立国際医療研究センター研究所を経て、現在は都内クリニックに勤務。