【管理栄養士執筆】腎臓の機能が悪いといわれたら注意したい食事のポイント

【管理栄養士執筆】腎臓の機能が悪いといわれたら注意したい食事のポイント

山田 佳菜絵

管理栄養士

執筆者:山田 佳菜絵

大学卒業後、IT関連企業に3年間勤務。管理栄養士の資格を活かすべく、大手保険会社のヘルスケア事業部門に転職。
管理栄養士として特定保健指導の業務に従事する他、レシピやテキスト、リーフレットの製作や商品開発など多岐にわたり経験を積む。
現在は管理栄養士フォローアップ研修の開催や、保健指導、コラム執筆など幅広く活躍中。

腎臓は体に溜まった老廃物や水分を排出する重要な臓器です。高血圧や糖尿病などが原因で動脈硬化が進むと腎臓の機能は低下していきます。この状況がさらに進行すると腎不全といって、体から尿が出なくなり、人工透析が必要になります。現在日本には約1300万人の慢性腎臓病の患者がいると推計されています。今回は腎臓にやさしい食事について解説します。


はじめに

みなさんは健康診断などで、「腎臓の機能が悪い」など言われたことはありませんか?
平成30年の厚生労働省「腎疾患対策検討会」の報告では慢性的に腎臓の機能が低下している方は日本に約1300万人いると推計されています。
腎臓の機能が低下し続けると、将来的に人工透析が必要になることも。
今回は「腎臓の機能が低下している」などと指摘を受けた方に向けて、注意したい食事のポイントを紹介します。

腎臓ってどんな臓器?その働きとは

「肝心要(かんじんかなめ)」の言葉通り、腎臓は体にとってとても重要な臓器です。
腰の上に左右1個ずつあり、こぶし大の大きさで、重さは1個150gほど、そら豆のような形をしています。
腎臓の主な働きは、以下の3つです。
  • 血液老廃物の排泄と血液の浄化
  • 体内の水分量や電解質の調整
  • ホルモンの分泌と調整
  • 腎臓の機能が悪化するとは、これらの機能が低下するということです。
    腎臓の機能が悪いといわれたら注意したい食事のポイント1

    腎臓が悪い状態が続くとこんなことにも

    では腎臓の機能が低下し続けた場合、どのようなことが起こるでしょうか。
    腎臓から血液中の老廃物を排泄できず、体内の水分量の調節もできなくなってしまいます。
    とくに進行した場合、慢性腎不全といって、腎臓がほとんど機能しなくなるまで悪化すると、人工透析が必要になってきます。
    人工透析とは、体内で処理できない老廃物や水分を処理するように、血液をろ過する方法です。
    透析は1回3~4時間かかりますが、週に3回程度行わなければなりません。
    非常に負担の大きい治療となります。
    腎臓の機能が悪いといわれたら注意したい食事のポイント2

    腎臓の機能が悪いと食事制限が必要な理由とは

    腎臓は生活習慣病が進行することで悪化していきます。
    特に糖尿病や高血圧、肥満、喫煙などが原因となります。
    であれば、腎臓を守るためにはこれらの生活習慣病を改善していくことが先決です。
    そして、糖尿病や高血圧の改善のためには特に食事に注意する必要があります。
    今回はその中でも特に重要な2点について紹介します。

    塩分の制限

    まず大事な点は塩分の制限です。
    食塩を摂取すると、人は水分を体に引き込む性質があります。
    そのため、塩分摂取が過剰になると、体内の水分を増やし、
    心臓や血管に負担がかかります。
    また、むくみの原因にもなります。
    腎臓の機能が低下していると、体内の水分調整がうまくいかないため、塩分については制限しなくてはいけません。
    また、塩分の過剰摂取は高血圧の原因にもなります。
    高血圧が続くと動脈硬化が進行し、腎機能が低下します。
    腎臓を守るためにも塩分は控えめにしましょう。
    具体的には1日6gまでの塩分制限が推奨されています。

    たんぱく質の制限

    次に腎臓の機能が低下している方は、たんぱく質の制限も必要になります。
    腎臓には糸球体という血液を濾過する部分がありますが、腎臓の機能が低下すると、この糸球体がダメージを受けた状態になります。
    ただでさえ、腎臓には大量の血液が流れ込むところに、タンパク質の濾過によって過大な負担をかけてしまい、ますます腎臓を傷めつけてしまいます。
    腎機能が低下している方は、タンパク質摂取について、標準体重×0.8(g)程度が推奨されています。
    標準体重とはBMI(Body Mass Index)22で計算した体重になります。
    例えば身長170cmの方であれば、
    1.7(m)×1.7(m)×22 = 63.58kg となります。
    標準体重が上記の場合、63.58kg × 0.8 = 50.86g。
    約50g程度のタンパク質摂取が妥当ということです。

    まとめ

    腎臓は一度悪化すると、もとに戻ることは難しい臓器です。
    そのため、腎臓の機能は悪化を食い止めることが大切になります。
    塩分制限とたんぱく質制限は、腎臓の負担をやわらげ、腎不全への進行を食い止めるためにも大事なポイントです。
    患者さんのほとんどは初期の腎機能低下の段階では無症状のため、対策を怠りがちです。
    腎臓の機能が低下していると指摘されたときは、一度食生活の見直しをしましょうね。
    参考文献:
    厚生労働省 腎疾患対策検討会「腎疾患対策検討会報告書
    矢野 宏行

    医師 医学博士

    監修者:矢野 宏行

    糖尿病専門医、老年病専門医。
    2006年 日本医科大学を卒業後、日本医科大学付属病院、国立国際医療研究センター研究所を経て、現在は都内クリニックに勤務。

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