【専門医が解説】メタボを放置すると招く怖い病気

【専門医が解説】メタボを放置すると招く怖い病気

矢野 宏行

医師 医学博士

執筆者:矢野 宏行

糖尿病専門医、老年病専門医。
2006年 日本医科大学を卒業後、日本医科大学付属病院、国立国際医療研究センター研究所を経て、現在は都内クリニックに勤務。

内臓脂肪型の肥満があり(ウエスト周囲径で判定)、血圧、血糖、脂質などが基準値を超える異常が2つ以上あればメタボリックシンドロームと診断されます。もしもメタボであっても自覚症状はほぼみられません。しかし放置していくと静かに動脈硬化を進行させ、場合によっては命に関わる病気を発症してしまいます。 今回はメタボに関係する病気について、糖尿病専門医の立場から解説します。


はじめに

40歳~74歳を対象として実施される特定健診は別名メタボ健診とも言われ、生活習慣病の前段階であるメタボリックシンドローム(メタボ)を発見する契機となります。
メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満とも言われ、そのまま放置すると生活習慣病につながるだけではなく、心臓病や脳卒中などの原因となります。
男性では2人に1人、女性では5人に1人がメタボの疑いがあると報告されており、早急な対策が必要です。
では、メタボを放置すると何がいけないのか、どんな怖い病気の原因となるのかについて今回は解説します。

メタボが招く病気とは

・2型糖尿病

内臓脂肪型の肥満があると血糖値を下げるホルモンであるインスリンが効果を発揮しにくくなります(インスリン抵抗性といいます)。
その結果、血液中の糖分が慢性的に高くなり糖尿病を発症します。
早朝空腹時の血糖値が126mg/dl以上、HbA1c(ヘモグロビンA1c)が6.5%以上の場合は糖尿病の可能性が高いため、さらに検査が必要になります。
糖尿病は発症してもほとんど自覚症状がありません。
そのため、多くの方が重症になってから医療機関を受診することになります。
糖尿病は無治療の期間が長く続くほど、合併症が進行します。
糖尿病の合併症は、失明や腎不全による人工透析、下肢の切断などにつながります。
つまり初期には症状がない糖尿病ですが、放置する時間が長ければ長いほど、このような恐ろしい合併症を引き起こす可能性が高まります。
メタボを放置すると招く怖い病気1

・高血圧

日本人の高血圧の原因は塩分の過剰摂取が主な原因ですが、肥満の人は正常体重の人と比べ、約2倍高血圧になりやすいといわれます。
日本人は塩分摂取量が多いこともあり、高血圧の患者さんが非常に多いです(約4000万人と推計されています)。
高血圧も初期にはそれほど症状がないものの、次第に全身の動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる重大な病気の原因になります。

・脂質異常症

内臓脂肪型肥満では血液中の中性脂肪が上昇し、善玉コレステロール(HDL-コレステロール)が減少します。
また悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)が上昇すると、全身の血管に動脈硬化が進行します。
そのため脂質異常症も将来的には心筋梗塞や脳卒中の原因となり得る病気です。
しかし、糖尿病や高血圧と同様に脂質異常症も症状がないため、放置されやすい病気のひとつです。

・脳卒中

脳内の血管が動脈硬化によって詰まったり(脳梗塞)、血管が破れて出血したり(脳出血)することで発症します。
現在日本人の死因の第3位であるとともに、一度発症すると手足の麻痺や寝たきりの原因になるなど、後遺症を残しやすい病気のひとつです。
メタボを放置すると招く怖い病気2

・心筋梗塞、狭心症

狭心症は心臓の血管(冠動脈)が動脈硬化によって狭くなり、血流が悪くなることで運動時に胸の痛みなどを自覚します。
一方、心筋梗塞は動脈硬化により冠動脈に血栓ができて血管が詰まり、心臓の筋肉が壊死してしまう病気です。
狭心症は徐々に進行する病気ですが、心筋梗塞は一瞬で血管が詰まり突然死の原因になることもあります。
メタボを放置すると招く怖い病気3

メタボは放置せず、日常生活の改善を!

さて、あなたがメタボを指摘されたとすると、これらの病気のリスクが高いことを意味しています。
ただ太っているだけではありませんので、まずは食生活や運動習慣の見直しが必要であり、場合によっては医療機関への受診も必要になります。

まとめ

日本人男性の2人に1人はメタボリックシンドロームと言われる時代です。
メタボはただ太っているだけではなく、生活習慣病や心疾患、脳卒中の原因となります。
症状がないものの、高血圧や糖尿病、脂質異常症によってすでに動脈硬化が進行している可能性もあります。
将来の健康のためにも、まずは出来ることから取り組むことが大切です。
矢野 宏行

医師 医学博士

監修者:矢野 宏行

糖尿病専門医、老年病専門医。
2006年 日本医科大学を卒業後、日本医科大学付属病院、国立国際医療研究センター研究所を経て、現在は都内クリニックに勤務。